FF式石油温風機の事故原因調査
松下電器産業製のFF式石油温風暖房機の一酸化炭素中毒事故は、昨年、家庭電化製品の中でも大きなクレームとして取り上げられた。
そもそもFF式石油温風暖房機は、三十数年前に室内の空気を汚さないクリーンな石油暖房機器として登場した。
業界に先駆け開発した三菱電機の商品名は、たしか「クリーンヒータ」だったと思う。
室外の空気を取り込んで燃焼させ室外へ排気ガスを排出するので室内の空気を汚さず石油ストーブなどで問題とされる石油独特の臭気もなく、当時としては画期的な商品だった。
ただ燃焼用の空気と排気ガスを室外に出し入れするために壁に貫通穴を開ける工事が必要なこと。また片づけができないこと等が難点とされていました。
その後、石油ストープにファンをつけたファンヒータが登場し、これは室内に排気ガスを排出するため酸欠や不完全燃焼の懸念があるが、安価なことからFF式石油温風暖房機にとって代わり、FF式石油温風暖房機の市場は小さなものになり、FF式石油温風暖房機から撤退する機器製造メーカーもあり、過去の商品になりつつあった。
ただ寒冷地、準寒冷地と呼ばれる地域では、FF式石油温風暖房機の根強いファンがいて、また買い替え時に旧商品の穴を利用してなどの理由から安定した需要がある商品になっていた。
どこのメーカーでも新たな開発は行わず、FF式石油温風暖房機を開発した設計技術者は、ほとんどリタイアし、技術がドキュメントなどで管理されていたとしても商品の状態に精通し、クレームなどに遭遇してもその場で原因を掴める勘をもった技術者は、残っていなかったのではないかと思う。
2005年に一酸化炭素による中毒事故(1名死亡,6名重軽傷)を起こした松下電器産業製のFF式石油温風暖房機について,独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)は「オゾンや熱でホースが劣化したのが原因」とする調査報告書を発表した。
以下の内容が報じられている。
「一酸化炭素が発生した直接的原因は,給気ホース(二次エアホース)に一定以上の大きさの穴が開いたためである。穴が開いたことで給気機能が低下して不完全燃焼状態となり,高濃度の一酸化炭素が発生するとともに,一酸化炭素が二次エアホースに逆流し,穴から漏洩した。
では,なぜ二次エアホースに穴が開いたのか。NITEは二つの理由を挙げる。一つは,二次エアホースの材質がニトリルゴム(NBR)製で,一般にオゾンなどにより劣化しやすいものだったこと。もう一つは,ホースを取り付ける際に大きな応力が残留したことだ。二次エアホースにオゾンや熱などによる劣化から亀裂が生じ,それが大きな穴に発展したとみられる。
NITEは,1972年以降に製造された他社のFF式石油温風暖房機(16社1901機種)の給気エアホースなどの構造や材質について,事故機と同じものはないことを確認したという。」
問題が大きくなったのは、初期対応がまずかったためと思われる。
世代交代などの際の技術の伝承にも問題があったのかも知れない。この問題は、2008年問題を先取りした問題にならないよう教訓を多く残してくれた事故だったと思う。






