初代ガウス賞に伊藤先生
私も学生時に確率論の基礎など先生の本で学んだことがありますが、伊藤清先生が初代ガウス賞に選ばれたとのこと。
読売新聞によると以下の報道がされています。
「67の国と地域の数学関連団体でつくる国際数学連合は22日、「ガウス賞」の初代受賞者に、金融工学などの分野で幅広く応用されている「確率微分方程式」を考案した京都大学の伊藤清名誉教授(90)を選んだ。同賞は、実生活に役立つ数学の応用で、世界最高の実績を上げた研究者を顕彰するため、天文学や物理学、統計学にも多大な影響を与えたドイツの数学者ガウスにちなんで同連合が創設した国際賞。数学のノーベル賞とされる「フィールズ賞」と並んで4年に1回開催される国際数学者会議で授与される。賞金は1万ユーロ(約150万円)。
伊藤名誉教授は、東京大理学部数学科卒業後、内閣統計局に勤務していた1942年、粒子の不規則な運動を予測する確率微分方程式を発表した。物理学や工学、生物学の領域で活用されたほか、80年代以降は、「デリバティブ(金融派生商品)」の価格決定に関する理論に応用された。「ウォール街で最も有名な日本人」と呼ばれている。
伊藤名誉教授は、「大変光栄です。私の研究を応用された人たちと喜びを分かち合いたい」とのコメントを出した。
金融革命生んだ方程式…デリバティブ価格決定に応用半世紀以上前に打ち立てた純粋数学理論は、今や隆盛を極める金融工学の理論的支柱に発展した。22日、「社会に貢献した数学理論」として、国際数学連合のガウス賞を受賞した京都大学の伊藤清名誉教授(90)。現代経済の先端を支える実用研究は、日本人数学者の独創的な発想の上に花開いたことを世界に改めて示した。
伊藤さんの理論は、株価のように“気まぐれ”に変動する現象を、確率論や微積分などの手法を巧妙に駆使して解析可能にしたものだ。伊藤さんが方程式を考案したのは、60年以上前の戦時中、内閣統計局に勤務していたころで、発表したのは、ガリ版刷り定期刊行物。純粋な数学理論としての発表だった。
この方程式を金融の分野に応用したのが「ブラック・ショールズ方程式」と呼ばれる理論。従来は経験や勘に頼っていた「デリバティブ(金融派生商品)」の価格決定が厳密に可能になるなど、金融界に革命をもたらし、考案者は1997年のノーベル経済学賞を受けた。
伊藤さんの業績に詳しい広島大の前川功一・金融工学プロジェクト研究センター長によると、ブラック・ショールズの方程式と、伊藤さんの方程式は、ウォール街を歩く金融アナリストらが持ち歩く、電卓の中に必ずプログラムされていたという。
前川センター長は「一つの公式が自然科学を変えるケースは多いが、社会でこれほど有用性を発揮した例はまれだ。ノーベル経済学賞を獲得してもおかしくなかった。今回の受賞は当然と思う」と話している。
(2006年8月23日 読売新聞)」
少し前に興味があって、保江 邦夫氏著による「Excelで学ぶ金融市場予測の科学 ブラック-ショールズ理論完全制覇」という講談社のブルーバックスの本を読んだことがあります。
あまり良い本のようには思えません。
冗舌な語り口
理系には饒舌でまどろっこしい.ファインマン・カッツ公式の充実した解説を望む.
わかり易く中身は最高
完全制覇?ブラック-ショールズ方程式は、金融工学の世界では基本的なツールの一つになっているようですが、伊藤先生の考えられた確率解析学に基づく、伊藤の補題がその根幹を成しています。
経済数学者フィッシャー・ブラックとマイロン・ジョーンズが創造した分野は、金融数学という一つの分野を形成しています。 なおフィッシャー・ブラックは、ノーベル賞のときは、死亡しており、受賞していません。金融工学の基礎を固めたロバート・マートンがマイロン・ジョーンズと共にノーベル賞を受賞しています。
なおブラック・ショールズの方程式と、伊藤先生の方程式は、ウォール街の金融アナリストの必須知識となっているということです。
また、数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞には、100年来の数学の超難問の一つの「ポアンカレ予想」を解決したとされるロシアの数学者グレゴリー・ペレルマン氏(40)ら4人が選ばれたが、ペレルマン氏は受賞を辞退した。現在、このベレルマン氏は、何故か雲隠れしているとのことです。
他のフィールズ賞受賞者は米プリンストン大のアンドレイ・オクニコフ教授(37)、米カリフォルニア大ロサンゼルス校のテレンス・タオ教授(31)、パリ南大のウェンデリン・ウェルナー教授(37)となっています。
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