ノーベル化学賞|鈴木章名誉教授・根岸英一特別教授が受賞
最近は、明るいニュースが少ないが、朗報だ。
ノーベル化学賞が根岸英一・米パデュー大特別教授と鈴木章・北海道大名誉教授に贈られるとのこと。
リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授との3名の共同受賞。
3人は金属のパラジウムを触媒に炭素同士を効率よくつなげる画期的な合成法を創造し、プラスチックや医薬品といった様々な有機化合物の製造を可能にしたもの。
有機物のC-Cの結合をパラジウム触媒下でクロスカップリングさせる研究の成果。
クロスカップリングというのは、R1-R2のようにC-C結合の有機物が別のものである場合を言います。
鈴木先生が各局のテレビでインタビューを受けて語っておれられたなかで、印象的だったのは、「特許を取得せずに公開したのが応用が広がった要因」との話しと、どのようにしてパラジウム触媒と塩基などの求核種の作用により、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリールとをクロスカップリングさせて非対称ビアリール(ビフェニル誘導体)を得る化学反応の『鈴木・宮浦カップリング』を見い出すに至ったのかの部分で、「セレンディピティ」と語っておられたこと。
「セレンディピティ」とは、熱心さのなかで何かを探求しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を言うが実にリアリティを伴った言葉だと感じた。
同じことは、導電性樹脂の研究で先に同じノーベル化学賞を受賞された白川英樹教授も言われていました。
ユニークな点は、有機合成でそれまでは、それまでに余り取り上げられなかった有機ホウ素化合物を取り上げられたこと。
これは、鈴木先生の米国の留学先の恩師のブラウン教授の研究の流れを汲んでのもの。
また「グリニヤール試薬」(この研究でノーベル化学賞をグリニヤール教授が受賞されたのは、1912年のこと)R-MgX(Xはハロゲン)が有機合成に万能的に用いられてきていたが、この場合は、炭素の結合はイオン結合であるのに対して、有機ホウ素化合物は、結合の強い共有結合なので安定性が高く反応性は悪い。
「塩基を加えてイオン性を高くしてやれば、炭素-ホウ素の結合がほどけやすくなるのではないか」とのイマジネーションがずばりと当たったもの。
電子受容体の塩基を加えて電子を引っ張り結合性を緩めるとの考え方。
特許は、創造物なのでクレームをうまく構成して権利が取得できたとしても、人は、その網の目(クレームの範囲)を越えてあたらな創造を行うもの。
30年前とのことと鈴木先生の人柄もあって特許取得をされなかったのだが、このことと技術の素性が極めて優れていたことが次々と技術の発展を呼び幅広い応用が広がったものだろう。
コンピュータのOSのリナックスが特許権・著作権等とは、無縁の世界で発展していった経緯と重なるものがある。
YouTubeにノーベル化学賞受賞の動画が上げられているので紹介します。
W受賞、一夜明けて喜びの声続々
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鈴木先生も盛んに言っておられたが、こういったニュースが、若者の理系離れを引き戻すトリガーになって欲しいものだ。
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