MITによるリチウムイオン電池の高速充電技術の発表
米マサチューセッツ工科大学(MIT)では、3月11日付けで時間のオーダーでなく数秒で充電できるリチウムイオン電池の実現の可能性に繋がる技術を開発したと発表している。
こちらが「Re-engineered battery material could lead to rapid recharging of many devices Beltway for electrical energy solves long-standing problem」と題したMITによるリリースの情報。
この研究結果は、すでに3月12付けののNature誌に掲載されています。
二次電池としてのリチウムイオン電池は、従来の二次電池と比較すると極めて高いエネルギー密度を有し、小型携帯機器用のモバイル電源としてすでに幅広く用いられています。
リチウムイオン電池は、従来の小型携帯電源としての適用に加え、さらに大型の電力貯蔵用電源、或いは電気自動車用電源として注目されています。
しかしながら、一般にリチウム二次電池は、出入力密度が低いため、高い出入力密度を有するリチウム二次電池を開発することが要求されていました。
例えば、自動車に使おうとすると出力が低いため加速が悪いなどの問題に繋がります。
充電の速度が遅いことは、2つの電池を交互に充放電させて組み合わせて使うことなどでカバーできる面はあったとしても、高出力が得られないとなるとクルマとしての加速性が劣るという基本的な性能に関わってしまいます。
リチウム二次電池の電極材料としては、一般に正極にリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素材料が用いられます。
そして充放電の際の電気化学的な反応は、この正極・負極間のリチウムイオンの移動になります。
その移動の全過程の中で、時間を最も要する過程が電気化学的な反応の速度を決めている「律速過程」になります。
この移動過程を辿ってみると、リチウムイオンの一方の電極からの「脱離」と、電解質中の拡散、もう一方の電極内へと「挿入」される過程が含まれます。
またこの「脱離」と「挿入」の各過程には、主要な過程として電極内でのイオンの拡散と電極と電解質間でのイオンの「相間」移動という過程が含まれています。
正極からリチウムが「脱離」して負極に「挿入」される反応が電池の充電反応になり、負極からリチウムが「脱離」して正極に「挿入」される反応が電池の放電反応になります。
リチウム二次電池の出入力密度を向上するには、リチウムイオン電池の電池反応の「リチウムイオンの移動」速度を向上させることが必要になります。
今回の発表となったMITのGerbrand Ceder(ゲルブランド・シダー)氏は、数年前のコンピュータによる計算で、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)という既存の電池素材で、イオンが実際は非常に速く動くことを発見していたとのこと。
この電極材料は、安価で熱安定性が高いという点から正極材料として数年前から注目されていた電極材料。
とくにイオンの動きが遅いのは材料の表面構造に原因があることが分かり、シダー氏らは新たな表面構造を作ってイオンの動きを速くすることを可能にした。
この電極材料がシャーレに入れられて公開されている。
論文を読んでいないため詳しくは分からないが、アモルファスの結晶性が低いガラス質の材料のように見える。
レーザーアブレーションなどで薄膜を形成すれば、融点が低いリチウムが失われてリチウム欠損を含むリン酸鉄リチウム薄膜が形成される。
「controlled off-stoichiometry」でリン酸鉄リチウム電極を作成したとのことなので、この方法は、レーザーアブレーションなどの薄膜形成法ではないかと推定される。
またこの手法に基づいて小型の電池を作ったところ、10~20秒で充電および放電できたと報道されています。
従来の製法の電極では、充放電に6分かかったとのことだ。
さらにこの手法で作った素材は、ほかの素材とは異なり、繰り返し充放電してもそれほど劣化しないこともテストで示されたとのこと。
またこの技術は、2~3年で市場に出せる可能性があるとシダー氏は、述べているとのこと。
高入出力を有する二次電池の開発がこれからさらに活発化していく。
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