ナメクジウオが脊椎動物の祖先
各新聞社及びテレビ局でも、6月19日、一斉に「人の祖先は、ナメクジウオ」といった報道が大きく取り上げられていました。
京都大学や米英などの研究機関が共同でとナメクジウオの全遺伝情報(ゲノム)を解読し、ヒトやホヤのゲノムと比べた結果、ナメクジウオから背骨をもつ脊椎(せきつい)動物が進化してきたととの進化の過程が明らかになったとするもの。
6月19日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表されています。
「ナメクジウオのゲノムと脊索動物の核型の進化」(The amphioxus genome and the evolution of the chordate karyotype p1064)だ。
ネイチャー(Nature)の表紙もこの人の指のような形の数匹のナメクジウオが表紙に取り上げられています。
Nature誌へのArticleとしての掲載は、厳しいレフェリーの判定も含めて極めて権威がある。
ナメクジウオは、浅い海底にすむ体長3~5センチほどの生物で、日本では瀬戸内海などにいることが知られています。ナメクジウオは、背骨(脊椎)はなく、脊索(せきさく)と呼ばれる筋が頭から尾まで貫いている体で「頭索(とうさく)動物」に分類されていまする。
従来から脊椎動物の祖先ではないかとして研究されてきたホヤは、生まれた直後はオタマジャクシのような形をしていて、尾には、やはり脊索を持っています。こちらは、「尾索(びさく)動物」に分けられ、尾の脊索は成体になると消失します。
ホヤの研究は、100年間にもわたって発生生物学の研究で取り上げられてきた生物で、今回の研究発表のリーダーの一人の京都大の佐藤 矩行 教授のところでも、2002年にホヤゲノム配列を解読し (Science, 2002, VOL 298, 2157-2167)、ホヤゲノムは非常に単純な構造をもち、そこにコードされる遺伝子の数も1/2 程度と非常に少ないことなどを発表しています。
こうした研究は、脊索動物に共通の体づくりのメカニズムの解明から脊索動物の起源と進化を究明していく研究として推進されていました。
今回の研究チームの解析の結果、ナメクジウオのゲノムの大きさはヒトの約6分の1で、約21,600個の遺伝子が特定されているようです。とくに、1,090個の遺伝子をホヤと比較し、比較評価した結果、ナメクジウオの方が早く現れ、原始的であることが確認されたというもの。
また、ナメクジウオの遺伝子の6割がヒトと共通しており、並び順も似ていたとのこと。一方、ホヤは独自の進化を遂げた傍流と判断されるとのことだ。
佐藤矩行(のりゆき)教授によると、遅くとも5億2千万年前、脊索動物の共通の祖先からナメクジウオが分岐し、その後、脊椎動物に進化したとの推測。
一方ホヤは、その過程で分かれ、独自に進化したと考えられるとのこと。
こうなるとナメクジウオの名前がいまいちの感がし、多少、がっかりする。
amphioxus(または、lancelet)と英語で呼ぶ方が何となく響きが良いように思われる。
海へいくと何となく懐かしい気分になるのは、先祖の遺伝子の記憶が深部に眠っているためか。
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