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2007年08月25日

ソニーがぶどう糖で発電するバイオ電池を開発

  ソニーが 8月23日、ぶどう糖で発電するバイオ電池を開発したと発表しています。

ITメディアのサイトでの情報によると以下のような概要のもの。

 試作品は、「パッシブ型」のバイオ電池では世界最高出力を達成し、実際にウォークマン(フラッシュメモリタイプ)で音楽を再生できたという

公開されているニュースリリースによると、試作電池を4つ直列につなぎ、ウォークマンとスピーカーで音楽を再生してみせる動画が公開されています。

ブドウ糖が含まれる市販のスポーツドリンクで発電する様子も紹介しています。

1辺39 mmのキューブ状のバイオ電池1ユニットで50 mWの世界最高出力が得られたとのこと。

そして、このバイオ電池4ユニットを直列に接続することでメモリータイプのウォークマン(NW-E407)とパッシブ型スピーカー(ウォークマンからの電源供給で作動)をバイオ電池の電源のみで動作させて、音楽を再生させています。

バイオ電池の筐体は、植物原料プラスチック(ポリ乳酸)製で、細胞をイメージしたデザインとのこと。

なおこの研究内容は、米国マサチューセッツ州ボストンで8月19~23日に開催のアメリカ化学会ACS(American Chemical Society)234th National Meeting & Expositionで現地時間の8月22日に発表したとのこと。

このぶどう糖で発電する電池は、ぶどう糖を分解する酵素と電子伝達物質を固定化した電極(負極)と、酸素を還元する酵素と電子伝達物質を固定化した電極(正極)で、セパレーターを挟んだ構造で、負極側では、外部からぶどう糖(グルコース)の水溶液を取り込み、ぶどう糖を酵素で酸化分解する際に電子と水素イオンを取り出します。

〔グルコース →グルコノラクトン + 2H+ + 2e-〕

一方、水素イオンはセパレーターを介して、負極側から正極側に移動し、正極側では、空気中の酸素を取り込み、電子と水素イオンによる還元反応によって水が生成されます。


〔(1/2)O2 + 2H+ + 2e- → H2O〕

このようなぶどう糖の酸化還元反応の組み合わせにより電池出力が得られますが、このような正極と負極での一対の電気化学反応が起こり電流が流れるとその反応を妨げる分極が起こります。

この分極を如何に押さえるかの分極の制御が安定した電池出力を得るポイントになるかと思われます。

開発されたバイオ電池では、電極表面への活物質の移動についてポンプなどを用いることなく電解質中での拡散のみを用いるパッシブ方式を採用しています。

上記の分極を押さえる技術としては、例えば、電極表面上を修飾して分極を抑制するための工夫にあるかと思われます。

各電極上に、酵素や電子伝達物質を、活性を維持した状態で高密度に固定化するための材料の開発とその固定化の製法がブレイクスルーの要素のように思われます。

この一連の電気化学反応を通じて、電子が外部回路を移動する際に、電気エネルギーが取り出されます。

今回の開発のポイントとして、「ぶどう糖を効率的に分解して電気エネルギーを取り出せるよう、酵素と、電子伝導を助けるための電子伝達物質を、活性を維持した状態で高密度に電極(負極)に固定化する技術を開発したこと。また、反応に必要な酸素を効率的に取り込めるように、電極(正極)内の水分を適度に保つ技術を開発したこと。」にあるとのことです。

このようなバイオ利用の電気化学系技術の応用としては、すでにグルコースセンサなどの酵素センサなどに実用化されています。

例えば、その例は、血糖値濃度を測るバイオセンサですが、耐久性に課題があるため使い捨て方式が採用されています。

このようなバイオ電池の課題として、上記の耐久性について電極上の不可逆な劣化をどのように抑制するかとか、電池として実用化するときに酵素反応の温度領域が狭いのでそれをどうカバーするかなど高いハードルが沢山あるように思われますが、地球上に豊富にある再生可能なエネルギー源を利用する環境に優しい技術なので是非、ハードルを乗り越えて欲しいものです。

なお、このバイオ電池の仕様は、以下とのこと。

  • 酵素 : (負極側)グルコースデヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ
         (正極側)ビリルビンオキシダーゼ
  • 電子伝達物質 : (負極側)ビタミンK3、補酵素NADH
               (正極側)フェリシアン化カリウム
  • 電極材料 : 多孔質カーボン
  • 集電体材料 : チタンメッシュ
  • セパレーター : セロハン
  • ぶどう糖溶液 : グルコース水溶液(0.4M)とリン酸ナトリウム緩衝液(1M、pH7.0)の混合溶液
  • 最大出力 : 1.5 mW/cm2(0.3V、5mA/ cm2)
            <※発電開始1分後の安定発電データ>
  • OCV(開回路電圧) : 0.8V

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投稿者 やたのからす on 2007年08月25日 21:16

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