分子の構造変化の動画撮影に成功
東京大学、科学技術振興機構、産業技術総合研究所は2月23日、有機分子の1つ1つの形と運動を直接観察することに世界で初めて成功したと発表しています。
24日のNHKのニュースでも紹介されていました。
撮影に至る研究のステップとしては、研究目的に合わせてまず、細胞膜の主成分である脂質分子に似せた化合物が合成された。
観察対象分子が真空中では素早く飛び回ること(一秒間に数十メートル)、また有機分子が電子線照射下で壊れ易いことなどから、観察対象とする分子の設計が重要とし、共同研究チームは、目印となる分子(ホウ素クラスター)と柔軟な鎖状分子(炭化水素)を結合し、脂質分子に似た特徴的な構造をもつ一連の分子を設計・合成したもの。
さらにカーボンナノチューブのなかに有機分子を閉じこめ動きを遅くし、かつ電子線の作用による熱の発生を抑え、また分子同士の化学反応の可能性をなくすことを考えた。
脂質分子に似た特徴的な構造をもつ一連の分子を真空中で揮発させてカーボンナノチューブの中に入れて、高分解能電子顕微鏡で観察したもの。
カーボンナノチューブが都合よく、透過型電子顕微鏡の電子のエネルギーを弱めてくれ、また有機分子の動きをスローにしてくれる働きをしてくれる。
炭素鎖長12の一重鎖を持つ分子。炭素鎖長12の二重鎖を持つ分子。炭素鎖長22の一重鎖を持つ分子。炭素鎖長22の二重鎖を持つ分子。4つの分子が合成され、それぞれが観察されています。
下の写真がリリースされている動画像の一つでみみずのようなのが透過電顕(TEM)でとらえられた脂質分子に似せて合成された炭素鎖長22の二重鎖をもつ分子の連続観察像。
右下の二つの写真は、脂質分子に似せて合成された有機分子の分子構造モデル。
これまで誰も見たことのなかった分子の動きが約1分にわたる動画として記録されたものが産業技術総合研究所のニュースリリースのサイトで公開されています。
飽和炭化水素の分子が、カーボンナノチューブの中で、実に興味深い動きをしているのが観察できます。
成果は米科学誌「Science」で論文名:Imaging of single organic molecules in motion(動く単一有機分子の画像化) で公開するとのこと。
こういう研究は、 今回のリリースで言われているように「分子模型を見るがごとくに有機分子の形の変化を観察する」という「研究者の長年の夢」を実現し、「さまざまな有機分子や無機分子に適用し、これまで知られていなかった分子一つ一つの挙動の解明に役立つ」ことに加えて、科学離れを言われる子供たちにサイエンスへの興味を持たせてくれることへの期待も大きい。
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