ハンダ割れ
パロマ工業製のガス湯沸かし器による、一酸化炭素(CO)中毒事故で以下のような報道がされている。
「1992年と95年に北海道で起きたパロマ工業製ガス湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、道警が器具を鑑定した結果、燃焼が止まり故障の原因となる「はんだ割れ」はコントロールボックス内の同じ個所で起きていたことが29日、分かった。
事故につながる不正改造は、この故障への応急処置として修理業者らによって行われた可能性がある。
パロマははんだ割れが集中する器具の“弱点”は認識していたが、十分な原因究明と対策を取れなかった。
パロマは「はんだ割れは当時の技術では避けることのできない現象」としている。」
(7/29:神戸新聞ニュースより)
現物をよく見ていないので詳しくは,分からないが,以下のようにも報道されている。
「はんだ割れは、金属部品同士をつなぐはんだの部分が割れる不具合。
金属の質によって熱膨張率が異なることによって生じる。
同部長の証言によると、はんだ割れが生じた場所は「電磁弁コイル」と「6Pコネクター」で全体の8割以上を占めた。
複数のはんだ付け個所がある安全装置内の基板の中で特に負荷がかかりやすいとされる。
これら2カ所ではんだ割れが生じると、湯沸かし器が点火しないという現象や、排気ファンが回転しないという現象が生じるという。
同部長は、はんだ割れの原因について、「温度差が繰り返されることによってはんだの部分にかかる力が集中」するためと説明。
一方で事故機種の安全装置の改修については、製造開始から89年の終了まで「(パロマ側としては)ない」と言明した。」
(asahi.com:2006年07月23日10時57分ニュースより)
はんだ割れの原因だが、「温度差が繰り返されることによってはんだの部分にかかる力が集中」ということだとすれば、これは、ガス湯沸かし器においては、設計上考慮すべき常識的な確認範囲ではないかと思われる。
パロマは「はんだ割れは当時の技術では避けることのできない現象」としている。」とのことですが、熱膨張による問題は、断熱材を介して温度上昇を抑えるか、応力集中を避けるための応力を逃がすためドラムから浮かすなど拘束を避ける構造をとることは、一般常識の範疇ではないかとも思われます。
ここでもエクスキューズが先に立っているのかと残念に思います。
また試行錯誤にしろ幾つかの対策案で解決の見通しが立たない限りは、商品を販売すべきではなかったと思われます。
ガス湯沸かし器は、お湯の温度を一定にするためにガス比例制御弁などを用いて、燃焼量を制御しているが、ユーザーが蛇口を開いたり,,閉じたりに対応して、バーナーがオン-オフして着火消火を繰り返す。
この動作により、ガス湯沸かし器は、温度上昇と降下を繰り返す。
これにより、熱膨張-収縮をガス湯沸かし器自体が繰り返すことになり、ガス湯沸かし器を構成している金属は、繰り返し応力による疲労劣化の影響を受ける。
設計上、問題がある熱交換機の場合には、このため金属に亀裂が入る場合もある。
極端な場合には、ドラムと呼ばれる胴の部分に巻き付けられた同パイプが熱膨張が大きく、ドラムに拘束されている箇所などで、水漏れを起こす場合もあり得る。
この繰り返し応力による金属の疲労を含む耐久性の劣化については、ガス湯沸かし器においては、必ず評価する基本特性の一つ。1分ON1分OFFとか、15分ON、15分OFFとかのサイクルを繰り返して評価します。
商品の器具でオンオフ耐久試験をしっかりと実施しておれば、必ず開発段階で検出される筈の課題であると思われます。
ガス湯沸かし器は、商品自体のライフは、一般ユーザー宅であれば、1日1時間として、5,000時間程度を目安としてそれに安全係数を掛けた時間だけ、評価すれば良いが、オンオフ回数は、一日に10回程度としても10年では、36,500回となり、金属では、繰り返し応力による疲労現象で破断するレベルの繰り返し回数のレベルにあることになります。
応力が大きければ、数千回のレベルでも破断する懸念があるかも知れません。
ハンダ割れで、室内温度について、10℃以下を想定してなかったとありますが、確かに夜間の数時間、使われなかった場合には、ガス湯沸かし器の温度は、室温近くまで低下するかも知れませんが、その影響を受けるのは、最初の1回だけで、ガス湯沸かし器が一度、使われると本体は,温度上昇し,室温が低いことは、余り関係しないと考えられます。
この室内に設置し、ファンで屋外に強制排気するFEと呼ばれる湯沸かし器やFF式の強制吸排気する器具こそ、屋内に設置しますが、一般のガス給湯器具は、屋外設置で,こちらがむしろ主流で、外気温度が低いことだけではんだ割れとかを起こしているようだと屋外設置のガス湯沸かし器の商品は,成り立たなくなります。
北海道の裁判記録の想定外の低温環境での設置がはんだ割れの原因とする理屈は、疑問が残ります。
一般的な問題でなく、特殊な問題としてこの問題に対応しようとしたのではないかと懸念されます。
これは、ガス湯沸かし器の設計上の問題ではないかと推定されます。
商品の開発スケジュールの中で、熱交換機の主要部品だけで、このオンオフの繰り返し耐久試験を実施し、商品で十分な耐久性の確認が実施されずに,商品化されたかとは、考えにくく、極めて恐ろしいことですが,あるいは、商品の発売段階では、はんだ割れについてすでに把握していたのでは、ないかとも推測されます。
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