三笠フーズと商人の本分
「商人はつねに謙の一字を大切に守り、人間として恥じない商売をするよう心掛けなくてはならない。また商人はものの売買でサヤ取りの利益を得るだけではいけない。ものの売買を通じて世の中のためになることをしなければいけない」
これは、江戸時代中期の天文学者の西川 如見(にしかわ じょけん)が商人の本分を説いた『町人嚢』の一節になります。
カビ毒や基準値を超えた残留農薬を含んだ事故米の不正転売問題は、どんどん驚くべき事実が公表されてきています。
雲隠れ中の問題の三笠フーズ社長は、商人の本分から外れ、人の「節義」からも外れてしまったようです。
安岡正篤氏によると「節義」について以下の孟子の言葉から、世の中がどうなっておろうが自分はこういうことは、しないんだというのが、「為さざるあるなり」であると述べています。
「為さざるあるなり、而して後、以て為すあるべし」
(『孟子』離婁(りろう)章句下)
この社長は、破綻した名門商社安宅産業の出身だったようですが、どうやらなぜ破綻したか、「商人の本分とは」など学ばなかったようです。
当時の安宅産業の破綻について、損を出してでも売上を取りに行くような無理な取引、創業家による個人的コレクション(陶磁やクラシックカー)への社費の支出をはじめとする企業の私物化、各事業部門が独自に進めたゴルフ場開発をはじめとする新規事業に対する統制の欠如など色々と言われました。
これは、ひと言で言えば商人の本分を踏み外したことが大きな破綻要因でなかったかと思われます。
三笠フーズは、テレビでの報道によると、創業以降、同業者も驚く、顧客への接待攻勢などでなりふり構わず注文を取りに行くスタイルで事業を伸ばしていったようです。
どうやら商人の本分から外れる手法のみ学んでしまったのでしょうか。
この問題で太田誠一農相が辞任し、事務方のトップの白須敏朗事務次官が更迭されています。
ただ選挙に影響を及ぼさないようにという一点で、辞めることは無責任。
国民が農水省のトップに責任を期待するとすれば、以下の点に尽きる。
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今回の汚染米問題の全容を国民の前につまびらかにする
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責任の所在を明確にし、農水省内部の関係者の処罰など必要な処理をする
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再発防止策を確立すること(例えば、米のトレーサビリティシステム<追跡確認性>の確立)
この低成長の時代において、セロ成長の享保の時代を生き抜いた商人の糧となった西川 如見の冒頭の商人の本分を説いた言葉は、含蓄が深い。
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