女性専用温泉施設でのガス爆発事故
渋谷の女性専用温泉施設「シエスパ」で女性従業員3人が死亡した爆発事故の話題が本日(6/20)のトップニュースだった。
そもそも温泉水のくみ上げのポンプや温泉水に溶解している天然ガスの分離装置などを設置した機械室が地下室に設置されているという構造が安全性の点からすると非常識。
天然ガスを分離装置で分離した後、地下から大気中に排出させることになるが、天然ガスの圧力で排出させると配管系などで漏れが発生する可能性があると考えられるし、そうでなければ排出のためのファンが必要で新鮮空気を取り込み、天然ガスを排出させるという吸排系の構成自体が複雑で難しいものになる。
天然ガス(すなわちメタン)は、部屋で漏れがあったとすれば、比重が空気よりも軽いので上方に分布する。都市ガス用のガス漏れ警報機は、天井から30センチ程度下の壁面に設置するのは、その比重が空気よりは軽いからだ。
またメタンは、無色で無臭のため漏れていてもそこにいる人には、わからない。
都市ガスとして供給されているメタンは、漏れたことが人にも気付けるように硫黄系の付臭剤が添加されている。これは漏れたことが臭いでも分かる。
基本的にこのようなポンプ並びにガス分離装置などは、地上に大気に開放された条件で設置されているほうが安全性が高い。
地上でなく地下に機械室を設置したのは、安全性よりも見た目を優先してしまったか、施主とシステムを設計したエンジニアとのコミュニケーションが不十分であったか、設計したエンジニアが温泉水に溶解している天然ガスに対する安全性を余り考慮していなかったためと思われる。
ガスの分離装置は、どのような構成のものを用いているかが不明だが、水-ガス系の装置は一般的には、温度変化により炭酸カルシムや珪酸カルシウムなどのスケールが堆積したりして機能が損なわれる懸念があるため定期的なメンテナンスが必須と思われる。
ガスの分離装置等の設置等は、エンジニアが関わったわけだが、施主に十分その安全性やメンテナンスについて厳重に伝えておくべきであった。
またせめてガス漏れ警報機程度は、機械室に設置しておくべきであった。
メタンの最小着火エネルギーは、水素の10倍、プロパンよりも大きいので爆発に至る前に警報機で逃げることができた筈だ。機械室の着火源となったのは何か。調査中のようだが。
なおシエスパの施設管理の目的で、メンテナンス会社が入っていたようだが、テレビでも報道だと設備の保守管理についてはメンテナンスの対象となっていなかったようだ。
メンテナンス会社も何をメンテナンスしていたのか。メンテナンスサービスの本質は、作業員の派遣といった人材派遣業のようなことではなく、機械室設備の安全性を含めた技術的な保守にあると思う。
『覆水盆に帰らず』:不幸にも事故は起こってしまったが、安全よりもビジネスが優先した結果の不幸ともいえるのではないか。
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