メタンハイドレードについて
メタンハイドレードとは、海底に沈殿しているシャーベット状のメタンガスと水の化合物のことを言います。
次世代のエネルギー源として大学や国の研究機関、ガス会社などで盛んに研究が進められています。
メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ構造のもので、化学式はCH4・5.75H2O。
海底に降り積もったマリンスノー(生物の死骸等)から分解してできたメタンが、水分子に取り囲まれたものとの説が有力とされ、1m3のメタンハイドレートを分解すると、水0.8m3とメタンガス約172m3(大気圧下、0℃)が得られることになります。。
このような構造を維持しているのは、海底で低温高圧の条件下にあるためです。
試算によると国内で、数兆m3が埋蔵されていると推定されています。
しかしメタンハイドレートを地上で天然ガス(メタン)として利用できるようにするためのエネルギーコストが現状技術では、高すぎるため実用化には程遠い状況にあります。
ITメディアニュースのウェブサイトで『メタンハイドレートははたして21世紀の新エネルギー源なのか?』と題して、堺三保氏による問題提起の記事が投稿されています。
最初に3月3日の東大や海洋研究開発機構の以下のリリースを取り上げてこの関連の新聞記事がメタンハイドレードの現状と課題を適切に伝えてないとしての問題提起です。
その冒頭に、2007年3月2日発表の『新潟県上越市沖の海底にメタンハイドレートの気泡を発見』とする東京大学、海洋研究開発機構、東京家政学院大学、独立総合研究所、産業技術総合研究所の共同発表のリリース記事が紹介されています。
その概要は、以下の通りです。
「海底から噴出するメタンがただちにメタンハイドレート化し、その後海水中を上昇して、最後は浅層で分解する様子を、世界で初めてビデオ撮影することに成功した。
新潟県上越市沖の海底から600mの高さにまでメタンガス気泡の柱(=メタンプルーム)を噴き出しているメタン噴出孔を無人探査機で調査した。そこでは、メタンは噴出後、直ちにメタンハイドレートに変わっていることが初めて明らかになった。深海底から湧き出したメタンは、通常は海水に溶解し、やがて酸化されて炭酸となるため、メタンとして表層に達することはないとこれまでは考えられている。しかしながら、上越沖では、気泡全体がメタンハイドレート化し、あるいはメタンハイドレートの皮膜で覆われるため、海水に溶けることなく浅海層にまで運ばれることが分かった。このことが、本海域の浅海層のメタン濃度異常の原因と考えられる。今回の発見により、海底下のメタンハイドレートシステムが直接に大気海洋系に影響し得ることが明らかとなった。」
(【リリース発表概要より】)
こちらが堺三保氏の問題提起の箇所の引用です。
『実は、海中に湧き出したメタンが、さらには、空中に達することによって、地球温暖化の一因になっていると考えている学者もいるのだ。なんせ、メタン自体が大気中に放出された場合、二酸化炭素の20倍もの温室効果があるっていうんだから大問題。もちろん、二酸化炭素と違って、メタンは大気中で分解されるのが12年程度だってことなんだけど、そうはいっても、大量に大気中にメタンが放出された場合、短期間では不可逆な気候変化を引き起こさないという保証はない。
石炭、石油、原子力と、利益と引き替えに痛い思いも何度もしてきてるんだから、今回こそは早急な実用化よりも、安全性を充分かつ慎重に検討してもらいたい。いや、結局のところ、「やっぱり掘り出せませんでした」で終わっちゃう可能性も高いんだけどね。』
(【ITメディアニュース「科学なニュースとニュースの科学」のコラム:堺三保氏より引用】)
たしかにシミュレーションによると現在沈殿していると見込まれているメタンハイドレードが全て大気中に噴出すると、平均気温が10年間で4度も上昇すると推定されています。
先の報道では、『上越沖では、気泡全体がメタンハイドレート化し、あるいはメタンハイドレートの皮膜で覆われるため、海水に溶けることなく浅海層にまで運ばれることが分かった。現状ですでに海底下のメタンハイドレートシステムが直接に大気海洋系に影響し得ることが明らかとなった』ということになります。
およそ8千年前にノルウエー沖でメタンハイドレート崩壊によるメタンの大量噴射が起こったと推定されています。
またその量は、メタン埋蔵量の3%に当たる3,500億トンにのぼると見積もられています。
ノルウェー沖には、この大量噴射に基づくとされる噴出口の痕跡が海底に1千キロメートルに渡って広がっており、百以上のクレーターが散在していることが知られています。
堺三保氏は、早急な実用化を懸念されているようですが、それ以前にメタンハイドレートシステムの大気海洋系に及ぼす影響についての早急な現象解明が必要です。地球温暖化の進行は、待ってはくれません。
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